OPDS(Open Publication Distribution System)は 電子出版物のメタデータをRSSフィードに似た手法で提供・配信・交換するオープンな仕組みである。Internet ArchiveがBookServerに使用することを想定してAdobeなどを仕様の策定をすすめていたフォーマットだが、その利用はBookServerにとどまらず、プラットフォームに依存しない形で様々な場所で電子出版物へのリーチを担保することができる仕組みだ。かなり面白そうなの仕組みなので少し調べてみた。
OPDSの仕様は以下に公開されている。2010年8月30日にVer.1.0になったものが最新の仕様になる。
OPDS Catalog 1.0
http://opds-spec.org/specs/opds-catalog-1-0
OPDSの概要は以下のInternet ArchiveのPerter Brantley氏によるBookServerの紹介がわかりやすい。
その他、同じPerter Brantley氏による”OPDS and the Future of Digital Books“(英語版より少し古くなるが日本語版もあり)、そして、FeedbooksのHadrien Gardeur氏、 ThreepressのLiza Daly氏、Keith Fahlgren氏による昨年のTOC2010の発表も非常にわかりやすい。
■OPDSの使い道■
このOPDSカタログフォーマットの利用方法について、Google Codeのopenpub の中で具体的な利用方法を列記して紹介している。
■OPDSの使い道についての妄想■
すぐに実現できるとは思わないが、その方向性としてOPDSを使ってこんなことできるのではないかと妄想力を働かせて以下のような図を作ってみた。とはいえ、あくまでOPDSの利用方法の一つにすぎないと思う。
(以下の図と説明に誤り等があった場合はご指摘いただけると幸いです。ぜひご指摘ください。)
解説
(1) メタデータとコンテンツファイルの位置情報などを抽出・生成
(1) メタデータとコンテンツファイルの位置情報などを抽出・生成
EPUBなど電子出版物コンテンツが持つメタデータを抽出し、オンライン上でのコンテンツ位置情報を収録したAtom形式からなるOPDSカタログを(自動)生成、コンテンツといっしょにアップロードする。当然であるが、コンテンツとOPDSカタログは自社のサイトなど公開された任意の場所に置く。
(2)収集
「収集」と書いたが、検索エンジンなどのクローラーがOPDSカタログを収集する以外に、RSSのようにカタログをアップロードすると同時にping送信して、OPSDカタログの更新情報をサーバーに提供するという方法も考えられる。図書館がこれをうまく活用できれば、コンテンツのメタデータ(そして、コンテンツそのもの)を自動的に収集できるということになる。このメリットは大きい。
(3)検索・リーチ
利用者はアグリゲーターが集約したOPSDカタログ(BookServer、図書館、書店、検索エンジンなどが検索サービスを提供)を検索して、出版社、プラットフォーム、図書館、書店、企業、官公庁、研究機関、個人などがそれぞれ任意の場所(自社のサイトなど)にアップロードした電子出版物を一度に検索することができる。検索結果からコンテンツのある場所に誘導される。
(4)Feed配信(Podcast配信)
RSSフィードと同じように、新たなコンテンツの掲載やコンテンツの更新をOPDSカタログによって知らせる。ここからは次の(5)に続く話であるが、OPDSカタログにコンテンツを直接ダウンロードできるURLを含む場合は自動的にダウンロードされる。つまり、これはPodcastだ。
(5)入手
コンテンツに到達できたら、そこからは各コンテンツプロバイダの条件に従ってダウンロードする。有料ならば購入手続きをするページを介するだろう。無料で提供されているものならそのままダウンロードすることができる。
■OPDSで実現できそうなこと(妄想)■
上の図のようなことができるとしたら、以下のようなことが実現出来るのではないかと思う。
- これまでプラットフォームごとに検索する必要があった電子書籍をOPDSカタログを集約したサーバーを持つ検索エンジンによって横断的に検索できるようになる。
- プラットフォーム間のメタデータの交換といったB2Bな用途に使える(実際にやるかどうかはともかく。どのプラットフォームでも検索だけは横断でできるようになる?)。
- プラットフォームを利用せずに独自に電子書籍を販売する出版社のコンテンツも1で集約されるので、読者により発見されやすくなる。。
- 個人や企業、機関が自サイトに掲載するEPUBやPDFなど(「非商用電子書籍」)も1で集約されるので、検索できるようになります。
- 図書館は電子出版物のメタデータの収集(及び条件が許せばコンテンツ)を自動的に行えるようになる。
とくに4番が実現すると非常に面白いと思う。Web上に埋もれがちで孤立しがち、そのため容易に発見されづらいコンテンツに対して光をあてることができる。例えば、ジェトロや公正取引委員会、特許庁などは良質な調査報告書を無料で数多く公開しているが、そのあまりの「埋もれっぷり」に非常にもったいないと思ったことは一度や二度ではない。そんなコンテンツに対するリーチを担保するしくみが提供できれば面白いと思う。
■参考■
OPDSの仕様策定の過程は以下のサイトで公開されているようだ。現在、ver.1.1.のドラフトも公開されている。
openpub – Project Hosting on Google Code
http://code.google.com/p/openpub/
OPDSのこれまでの経緯については、以下で紹介されているのでこちらも参照してほしい。
・電子書籍の目録配信のオープンフォーマット“Open Publication Distribution System”のver.1.0が公開 | カレントアウェアネス・ポータル(2010年9月3日)
・Internet ArchiveのP・ブラントリー氏が来日 « マガジン航[kɔː](2010年7月13日 )
・ボイジャーが”BooKServer”の正式メンバーに « マガジン航[kɔː](2010年2月25日 )
・BookServer訪問記 « マガジン航[kɔː]2009年12月9日
・“BookServer”これは驚き! « マガジン航[kɔː](2009年10月26日 )
・インターネット・アーカイブのBookserver構想 « マガジン航[kɔː](2009年10月26日 )
・Adobe社、Internet Archiveなどが協力し、オープンな電子書籍出版システムを開発へ | カレントアウェアネス・ポータル(2009年4月13日)
・Adobe等、電子書籍の目録配信に係るオープンな標準を策定中 | カレントアウェアネス・ポータル(2009年4月9日)
・第4回:クローズドなKindleに対抗勢力,ソニーやGoogleはオープンを標榜 – 家電・PC – Tech-On!(2010年2月8日)
